とある建築系雑誌を読んだ。
第2次大戦後の復興住宅も、現在の避難キャンプや仮設住宅も、その建設の基本的な考え方は、18世紀末のフランスの産業資本家たちが考案した配置計画が元になっているらしい。
コンセプトは、「家族のプライバシー」と「家族間の隔離」、そして「それら家族の管理」。
要するに、労働力の確保だ。
ジュネーブ、1994年、ルワンダ難民キャンプについての国連難民高等弁務官事務所シェルター担当官の言葉。
「あまり住み心地の良いシェルターを与えると難民が住み着いてしまうから、最低限のものを与えておけばいいのさ」。
それでも東北の方々は言う。
「こんなにお世話になっていて、そんな贅沢は言えない」。
いい人。統治者側・経営者側にとって、都合のいい人。
ボクは思う。この国は私たちを守りはしない、と。
今回の作品は、カバのお腹の中のお話です。
逃れられない胃袋の中での生活を自らに課してみたかったのです。
今回もソウルでのオーディションを経て、韓国人俳優3名を関西にお招きすることとなりました。異なる言葉、文化・習慣の違いを越えるのではなく、それぞれがそれぞれに持つ小さな矢印の群れが共存できる、そんなサンクチュアリを劇場に描こうと思うのです。
清流劇場の日韓共同創作、ご期待下さい。
田中孝弥
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